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ルートヴィッヒ・ボルツマン・フォーラム

野村恭子 「日本の男女共同参画、女性医師を事例に」

日本の男女共同参画:女性医師を事例に

野村恭子、医師・医学博士、帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座 准教授、帝京大学女性医師・研究者支援センター 室長、帝京大学大学院公衆衛生研究科 准教授

2016年のルートヴィッヒ・ボルツマン・フォーラム「女性のキャリア開発とリーダーシップ」

会長、プロデューサー ゲルハルト ファーソル

[English version: Professor Kyoko Nomura, Gender inequality in Japan: a case report of women doctors]

野村 恭子、医師・医学博士、帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座 准教授、帝京大学女性医師・研究者支援センター 室長、帝京大学大学院公衆衛生研究科 准教授
野村 恭子、医師・医学博士、帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座 准教授、帝京大学女性医師・研究者支援センター 室長、帝京大学大学院公衆衛生研究科 准教授

2016年現在、日本の65歳以上の老年人口は26%を占め人口の約4分の一にあたる。一方、0-14歳の年少人口は14%と低い。何故、これだけ低いのか?昨今、日本は少子高齢化に直面しており、合計特殊出生率は約1.3である。これは一生涯に一人の女性が産む子供の平均人数を意味している。このままの状態でいくと日本政府は日本の総人口は2050年までに1億人を切ると予想している。つまり少子高齢化日本は低出生率と高齢化の二つの要因によって作られている。

そして加速するこの少子高齢化日本の経済を支えるためにだれが主な働き手になるのだろうか?それはもちろん若年層と女性である。この考え方は現在の日本の女性活躍推進の前提条件である。しかしながら、当の女性や、日本社会全体が「男は外で働き女は家を守る」という性別役割分業の認識に強くとらわれている現状がありなかなか現実的に難しい側面が多い。

世界経済フォーラムが発表しているジェンダーギャップ指数で、日本は145か国中101位であり、先進国の中でも男女が平等に社会参画していない国である。

女性労働に関し、医療界では今、日本は深刻な医師不足に直面している。人口1000人当たりの医師数は2.2人となっており、これはOECD諸国の平均3.2人からするとまだまだ低い値となっている。ここからも類推されるように医師労働市場での女性医師の貢献は期待されているのである。

事実、医学を志す女性の割合は年々増加しており、現在では日本の医師全体の20%を女性が占めている。しかし、それでもOECD諸国中では最下位であり、医療界で女性がキャリアと仕事を両立できるように環境整備を整えることは重要課題となっている。

野村医師は14医科大学の女性医師調査を行い、男性の98%はフルタイムで就労しているものの女性の7割程度しかフルタイムでは就労していないことを報告している。別の調査では、女性医師は結婚や出産時といったライフイベント時に辞めており、卒後5年以内の離職率は44%、10年以内の離職率は85%であると算出している。 また厄介なことに同調査で女性医師は一度辞めるとフルタイムに復職する確率は全体の3分の一としている。

結果として、医学界で活躍する女性は少なくなる。現に、80校ある医学校の中で女性が占める医学部長は2名だけであるし、フルタイムの女性教授は2.6%だけである。女性教授の割合はアメリカで19%、イギリスで16%とあり日本が非常に遅れているのがわかる。

野村医師は2016年2月に国際雑誌”Surgery”に論文を掲載し、そこでは8000人の外科医について調査を実施、婚姻状態にある男性は婚姻していない女性よりも労働時間を調整しても収入が多く、男性では子供が増加するごとに収入が増え、女性では下がる傾向を報告している。また別の調査で野村医師は男性医師では家庭労働時間が子供の有無にかかわらず極端に少なく、女性ではたとえ婚姻していなくても婚姻している男性に比べて非常に家事労働時間が長いことを報告している。 このことより、医師という非常に専門性が高い資格職においても性別役割分業の意識が非常に浸透していることがうかがえる。

科学雑誌ネイチャーでは、昨年“women in science”という特集号を組み、「科学というものは制度的に男女格差を未だにはらんでいる。女性科学者は同じ能力のある男性に比べていまだに賃金が低く、昇進しづらく、また研究費も取得しにくく研究をやめやすい」と説明書きがされている。

野村医師は2014年に自身が所属する帝京大学に女性医師・研究者支援センターを立ち上げ、女性医師と研究者に多様なサポートを行っている。保育施設や病児・病後児保育、研究支援員配置などの環境整備の他に、女性の能力向上支援として、メンターの配置、リサーチスキルのための各種セミナーやワークショップ、男女共同参画の卒前教育などの取り組みにより、大学における女性の教員数は確実に増加している。野村医師は「女性を支援するためには、環境整備だけでなく、キャリア構築に向けた能力支援の二つが重要である」と結んでいる。

野村 恭子、医師・医学博士、帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座 准教授、帝京大学女性医師・研究者支援センター 室長、帝京大学大学院公衆衛生研究科 准教授
野村恭子、医師・医学博士、帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座 准教授、帝京大学女性医師・研究者支援センター 室長、帝京大学大学院公衆衛生研究科 准教授
ルートヴィッヒ・ボルツマン・フォーラム「女性のキャリア開発とリーダーシップ」
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野村恭子、医師・医学博士、帝京大学、プロファイル

出身地:東京都出身
略歴
1993年 帝京大学医学部医学科卒業
同 年 慶應義塾大学内科学教室初期研修医
1996年 帝京大学千葉市原病院内科助手
1997年 日立総合病院内科医員
1998年 河北総合病院内科医員.
2002年日本内科学会認定内科専門医
 ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程(疫学/生物統計学専攻コース)修了.公衆衛生学修士号(MPH)取得
2003年 帝京大学医学部博士課程修了(医学博士取得)
同 年 帝京大学医学部衛生学公衆衛生学教室助手
2007年 同  講師
2009年 日本心身医学会認定「内科」専門医取得
2012年 帝京大学公衆衛生大学院准教授
2013年 帝京大学女性医師・研究者支援センター室長
2014年 帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座准教授

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